繁殖部門

豚の“産科医”と“小児科医”の毎日は、生まれる喜び、育てる喜びに満ちています。

交配 誕生3ヶ月前

“発情サイン”を見分けられたら一人前。

繁殖部門の仕事は、交配と出産の2つに大別されます。育種農場から送られてきた母豚(ぼとん)はまず育成舎で一定期間を過ごし、農場の常在菌にも慣れて「準備OK」となったら、交配舎に移送。ここから繁殖部門の仕事が本格的にスタートします。発情周期は21日。「背中を触ると耳としっぽをピンと立てる」「近づくとお尻のほうからすり寄ってくる」など、発情サインを確実にキャッチすることが重要です。人工授精用に訓練したオスを、雌に見立てた擬牝台(ぎひんだい)に乗せるなど、多彩なプロの技を駆使して交配の精度を高めます。

交配は本交配とAI(人工授精)を組み合わせて行われます。どちらを選ぶかは農場によって、また条件によってさまざま。高能力の雄豚から採取した精液を用いて、受胎率や出産一回あたりの頭数をアップさせる研究も進めています。研究風景は、豚舎というより大学の研究室!

受胎 誕生2ヶ月前~

ヒトも豚も、手のぬくもりがうれしい。

交配後3週間をメドに、超音波の画像診断装置を使って妊娠しているかどうかをチェック。残念ながら…という場合は、振り出しに戻って再チャレンジ。めでたく妊娠を確認できた母豚は受胎舎に移されます。

豚の妊娠期間は三月三週三日(114日)。妊娠確認後は出産を待つばかり…と気を抜くのは禁物。どんどんお腹が大きくなるので、母豚はだんだん横になって過ごすことが多くなりますが、よく見るとお腹が張って辛そうな時も。そんな時、すぐお腹をなでてあげられるのも、母豚の変化に気づけばこそ。フランス料理がオムレツに始まりオムレツに終わるように、この仕事は一にも二にも観察、観察!最初から最後まで、豚をしっかり観察することがいちばん重要なのです。
出産予定日の4日前になると、分娩準備のために餌を減らします。新しい命の誕生は、もう目の前です。

分娩 誕生~生後4週前後

命の誕生に立ち会う感動。

豚は畜産界きっての“多産系”。出産回数は母豚1頭あたり年間平均2.3回、1回で10~14頭も生まれます。豚の体温はヒトより2度高い38度。体長20センチの手のひらサイズなのにすごく熱い。小さな体で心臓をバクバクさせる元気な脈動を体感するたびに、鳥肌モノの感動をおぼえます。
豚は誕生後、約4週間の授乳期を分娩舎で過ごします。この間、最も注意を払うのが「圧死対策」。体重約200キロの母豚に対して、生まれたての仔豚の体重は1、5キロしかなく、授乳時に仔豚が押しつぶされるケースも少なくないのです。
しっかり観察して事故を未然に防ぐのが肝要、なのですが、管理する仔豚は一人あたり数百頭。100%防ぐのはどだい不可能なので、分娩舎内の柵を改造するなど、設備面での工夫も重要です。その点、社内に豚舎や器具の開発・建設も担う開発研究部門があるところが、当グループならではの大きなアドバンテージ。現場で思いついたアイデアをすぐ形にできます。

鉄分補給のために鉄剤を注射し、子豚どうしのケンカで傷つかないように牙をカット。また生後3週間目は抗体が下がり、下痢や白痢になりやすいので、特に注意が必要。やがて、つるんとしていた体に白い毛が生えそろい、元気に動き回るように。愛情をこめて世話するうちに、4週間はまたたく間に過ぎてゆきます。

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